【2022.10.27 カナダ・モントリール滞在】モントリオールへ移動

 

 次の目的地はモントリオール。かつてのカナダ最大都市。70年代のケベック州独立派によるテロ事件のなどの影響で企業の本社などがトロントに移り、最大都市の座を明け渡しましたがカナダでも古い歴史を持ち、フランス語圏ということもありヨーロッパの空気が感じられる街。ビール文化も一味違うという話です。

 で、電車で空港へ向かい、小さな飛行機でモントリオールへ。空港からバスと電車を乗り継いで宿へと向かいますが、心なしか地下鉄は幅が狭く、ロンドンやパリの地下鉄っぽい感じがします。駅を降りるとすぐに大きめのスーパー、宿の目の前にはキャバレー。で、宿はというと思いっきりパリの安宿みたいな雰囲気です。古い建物を隣同士無理やり繋げて、軋む急階段を登ったところにあるフロント、陰気くさくて狭い部屋の感じ。まさしくパリのそれを思い出します。

 荷物を下ろしてスーパーに向かうとビールコーナーが!さっきまで居たオンタリオ州だとスーパーには基本的にお酒は売っていなくて、前に書いた州政府運営のLCBOという酒屋でしか買えません。ケベックの法律はちょっと違っていてお酒のコントロールが緩いようです。疲れていて写真撮るのを忘れてしまいましたがDrink Uppersさんの輸入しているLTMLagabiere、もちろんDieu Du Ciel!なんかと並んでCollective Artsはやっぱりありますね!まあ西海岸に行ってもすごい人気と聞いているのでそりゃあそうでしょう。スーパーで食料を買ってホテルに帰るといつの間にか大雨。街に出るつもりでしたが疲れもあって寝落ちしてしまいました。 

 

 翌朝は昼から行動。まずは12時からやっているMessoremへ。郊外の倉庫を改装したこちらはブルワリーの作り、雰囲気からしてゴリゴリのアメリカンスタイル。Hazy IPAFruited Sourなんかが売りで、untappdなんかでも高評価のブルワリー。ジャーマンピルスとWCIPAHazy IPAをいただきました。次は電車で移動してMellonへ。

2021年にオープンしたこちらは新目のブルワリーで、Instagramでチェックして気になっていたところ。ラガーやセゾン、ペールエールなんかの軽めのスタイルを中心に混合発酵なんかもやっています。これから色々と精度を高めていったら人気が出そうな感じがします。ペールエールを一杯飲んで次へ移動。

 

 Mellonの近くに長い商店街があったのですが、ここが小綺麗な街並みにメキシカンマーケットやらアダルトショップ、バッタもん含む激安の服屋などが並んでいて個人的にはブチ上がり。モントリオールは駆け足だったのでエリアの特徴などまだ掴めていませんがこの辺りは下町なのでしょうね。

 少し寄り道したあと次の目的地であるIsle De Gardeへ。Cask Daysでいくつか飲んだこともあり、またヨーロピアンスタイルと聞いていたのですがモダンな外観と内装のスタイリッシュなバーですね。ちょっと意外でしたが店内は平日16時頃にも関わらず賑わっています。店内からは醸造設備を見られないし、店員も若くてブルーパブというか普通に洒落たバーって感じです。メニューは全部フランス語で、タップリストは殆どがトラディショナルなヨーロピアンスタイル。写真を見返すとどうやら提供温度毎に分かれています。ボトルリストもサワー中心にベルギーからアメリカ、スイス、チェコ、もちろん地元ケベックのものなどが揃っており、ワインリストも充実。フードもリコッタチーズと牛頰肉のニョッキやらシェーブルチーズのラビオリやらセロリのカルパッチョやら、アメリカのそれとは完全に一線を画しており、食文化が違うんだろうなって感じです。ビールも旨いし店の作りやコンセプトがスタイリッシュだし、ここで醸造しているとか云々を抜きにして単純に酒場としてのクオリティが高くて驚きました。満足したあとは次の目的地へ。

 改装中でやってないよとLucから聞いていましたがDieu Du Cuel!のオリジナルロケーションの前を通ります。この辺りになると街並みがグッとヨーロピアンな感じになってきて、石造りの立派な消防署があったりとモントリオールにいるんだなと感じます。マイルエンドというヒップスターエリアにあるDieu Du Cuel!はロケーションも佇まいも良く、開いている時に来たいですね。

 

 そこからサンローラン通りというメインストリートを歩いて行くと次の目的地であるReservoirのすぐ手前にポルノ映画館が。素通りしようとしたら目に留まったのがショーウィンドウにディスプレイされたマーチャンダイズ。

 キャップはフーディーなど、グラフィックが(意図せず結果的に)今時のストリートブランドっぽくて洒落てます。自分用に買って帰って日本でドヤろうかと中に入り、「マーチだけ買えるんかの?」と聞くとおそらくオーナーである40代後半くらいの夫婦っぽい男女が「OK」と。色々物色してお会計しようとすると、スクエア端末の通信エラーで決済不能。現金を一円も持っていかなかったので店内のATMや近くの銀行のATMも試しますがダメ。仕方ないので近くでビール飲んでからまた来るからそれまでに直せたら直しておいてくれ、と言ってReservoirへ。

 こちらも人がパンパンに入っており、ちょうど空席ができたタイミングで滑り込み。ビールはIPA、セゾン、ラガー、ブロンド、サワーなどありますがどちらかというとアメリカンな感じ。セゾンは個人的にあんまり得意じゃないタイプのアメリカンなセゾンでしたがIPAとラガーは無難に美味しい。ここもブルワリー云々抜きにして単純に酒場として成立している感じ。で、ポルノ映画館に戻るもやはりカードが使えずでマーチャンダイズは泣く泣く断念。次の目的地へと向かいます。

 次はAmère À Boireへ。坂の多いこの辺りはカルチェラタンという歓楽街になっております。ナイトクラブや酒場が多く、かなり雰囲気があります。Amère À Boire(苦い飲み物の意味)はパブって感じでヨーロッパにいるような錯覚を覚えます。作っているビールはアメリカンもありますがやはりドイツ、チェコ、イングランドなんかのトラディショナルなヨーロピアンスタイルがメイン。店の佇まいも渋いです。

 お次は近くにあるLe Cheval Blancへ。代々家族で酒場を営んできたようなんですが、ブルーパブとしての歴史は1987年からのこちら。モントリオールでも最古参の部類のようです。店内はナイトクラブっぽい雰囲気のバー。酒場!って感じで活気があります。いい意味でのちょっとしたいかがわしさと老舗の風格と。ビールもブレットペールエールとかあって美味しいです。しかし流石に疲れたのですぐに退散。しかしどのお店とも違う雰囲気のかっこいいお店でした。次の日早いので宿に戻って即就寝。

 

 しかしモントリオールは他のどの都市とも違う刺激を受けましたね。クラフトビールの街への根付き方というか、ビール文化の根の張り方が相当深いなと感じました。イメージとしてはアメリカのそれよりもやはりヨーロッパのそれに近いかもしれません。そして、というべきか、だから、というべきか。どのブルワリーもブルワリーのタップルーム云々を抜きにして、空間作り、フードメニューなど単純に酒場として完全に成立しています。「そこで作られたビールが飲める」とかそういう付加価値に頼っていない。また、ビールのスタイルにしてもフードにしてもインパクトや奇を衒った感じがせず、その土地の食文化が素直に表現されている印象を受けました。その表現の仕方も昔ながらのクラシックな感じだけでなく、モダンでスタイリッシュな見せ方もできるんだなーと。

 振り返ってトロントのブルワリーのことを思い出すと、トロントはビールに関してはもっとアメリカの影響が強いけれど、お店のあり方や街への溶け込み方に関してはモントリオールのそれと共通する感覚が通底しているかもしれないなと思いました。モントリオール、また来る必要がありそうです。

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