2017年設立の日本文化をモチーフにドイツやチェコを源流とするスタイルのビールを中心醸造する、カナダ、オンタリオ州トロントに拠点を持つブルワリー。10代の頃よりヨーロッパ産の輸入ビールに慣れ親しみホームブルーイングを嗜んでいたケベック州ガティノー出身のLuc Lafontaine氏とその日本人の妻Eri Kuramatsu氏によって創設された。
画像出典:nowtoront
大学でモントリオールに移住したLuc氏は1998年に創設前の街きっての人気ブルワリーDieu du Cielの創設者2人に出会い意気投合。その直後に約1年以上世界中を旅する旅行にでかけ、その際戻ってきた暁にはDieu Du Cielでブルワーとして働く事を宣言。その約束の通り2001年に戻りブルワーの座に就いた。モントリオールの人気ブルワリーに登り詰め、設備拡張した2007年、Lucはヘッドブルワーに昇格。この時醸造されたセッショナブルで低アルコールのビールはほとんどLucが考案したもの。Dieu Du Cielそしてモントリオールという街を世界のクラフトビールシーンに知らしめた。
その1年後、現ビジネスパートナーで妻であるEri Kuramatsu氏と出会う。それを機に何度か訪れた事のある日本により惹かれていき、2011年に移住。日本に拠点を移した彼は様々なブルワリーの醸造コンサルタントを行ったり、国内のトップブルワーである植竹氏(Brasserie Knot)や吉瀬氏(Yorocco Beer)に多大なる影響を与えたりと、現在の日本のクラフトビールの礎を築く事に貢献している。(現にYorocco Beerの定番IPA、SkywalkerはLucの名前とLuke Skywalkerをかけて彼への敬意を表して冠した名前である。)そして仲間と共にうしとらブルワリーの創立へと動く。様々な紆余曲折を経てようやく開業へと漕ぎつけた2014年、彼は自らのブルワリーを立ち上げるべくカナダへと戻る。
マイクロブルワリーが未発達で勝機を見出したLucは拠点をトロントとした。そして2017年、日本の暴走族を描いた映画 “Godspeed You Black Emperor”、そしてモントリオール出身の同名のバンドに因み名付けられたGodspeed Breweryを設立。
開業当時より評判を得て、オープニングにはトロント市長までがお祝いしに来たほど。またLucはHill Farmstedと9回コラボレーションを行うほどShawn Hillと密であり、Stone Brewingの創設者Greg Koch、CantillionのClaude Van Royなどビール業界でも幅広い交友関係をもっており、彼の懐の深さが伺える。「世界的に評価されるローカルのブルーパブでありたい。」と話すLucが世界中を旅する事により養った知見の詰まった彼の自伝的ビール達を是非堪能していただきたい。