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【Chambre d'Amour】について
2022年は2年ぶりに海外渡航の制限が緩和された年でした。ここぞとばかりに北米東海岸に飛び立つと、そこで感じたのはヨーロッパの風。北米東海岸は地理的な条件もあり、西海岸に比べて元々ヨーロッパビールの影響が強い土地でしたが、ヨーロッパ色の強い老舗のビアバーに加え、新世代のクラフトブルワリー達がラガービールをはじめとする伝統的なヨーロピアンスタイルを探求し、自分たちのものにしようと創意工夫を凝らす風景が今回の旅で見えたのでした。 また、ビアバーやブルーパブ、ブルワリーのタップルームのあり方を観察し、その土地の風土や食文化、暮らしの中にあるビールということを考えるきっかけにもなりました。中でもそういった意味でモントリオールは刺激的な場所で、クラフトビール文化の成熟を感じる場所でした。昨年のヨロッコとのコラボビール"Marbles"ではコロナ禍ということもあり、ビールが主役というよりは、日常的に飲むビール、普段の生活の中にあるビールということを考えました。今年も基本的にはその延長線上ですが、今回の北米東海岸の旅をキッカケにトラディショナルなスタイルをベースに日本の風土や食生活に合うようなものをと構想しました。 直接のインスピレーションとなったのは、とあるブルワリーで飲んだラオホです。高速道路を飛ばして2時間ほどの農村にあるそのブルワリーはラガービールで名を馳せておりますが、そこで飲んだピルスナーとラオホの美味しいこと。フレイバー豊かでありながら飽くまでライトでドリンカブル、それでいて決して水っぽくならずに何倍でも飲めそうです。特にラオホはこんなにクリーンでごくごくと飲めるのは初めて、何よりその場所とシチュエーションに完璧にマッチしていて感動しました。トラディショナルなスタイルをその土地の風土や暮らしに合わせてチューニングする、そういう発想が生まれたのでした。 そうなるとやはり頼るのは我等がヨロッコビールです。帰国後早速相談しに行って、いくつかのやり取りがあったのち、程々のスモーク香にアルコール度数はやや低め、柑橘系のホップとアクセントの金柑で爽やかさ、軽さを演出しましょうと決まりました。 本来こういったスタイルにフルーツは禁じ手というか、王道ではありませんがやってみましょう、と。そしてモルトの燻製や金柑の下処理などを一緒に行って出来上がったのがこちらのビールというわけです。是非お代わりして楽しんでください! タイトルはヨロッコビールの明生さんと話す中でその王道ではない裏道感や、インスピレーションの源となったモントリオールの夜のネオン街、宿泊していた安宿、北米からヨーロッパへ思いを致す、そういったイメージを膨らませて行って「愛の小部屋」と名づけました。アートワークもそのイメージからということで、例によってお隣の岡村奈津樹さんに紹介してもらった高橋あゆみさんにお願いしました。裏道感のない作風の高橋さんですが、そのPOPな色彩感覚と、無機質なようであり有機的なようでもあるフォルムを見た時に、敢えていかがわしいものを描いてもらったら面白そうだなと感じました。パッケージの出来上がりをお楽しみに〜 商品ページはこちら
【Chambre d'Amour】について
2022年は2年ぶりに海外渡航の制限が緩和された年でした。ここぞとばかりに北米東海岸に飛び...
【Yorocco - Marbles】について
コラボレーションビールの醍醐味ってそのブルワリーのハウススタイルから逸脱しない範囲内で、でもきっかけがなければ作らなそうなもの、というのが面白さだと思います。しかもインパクト狙いの一発ネタみたいなのじゃなくて、クラシック感といったら大袈裟ですけどある程度の普遍性みたいなのが出せたら最高です。 実は都立大の2周年の時にヨロッコビールにコラボレーションをお願いしたいなと思っていたのですが、見送りました。1年半前の僕たちは実力不足でいいアイデアが浮かびませんでした。 それから1年後、ようやく生まれたアイデアが今回のDry Hopped Sourです。 きっかけとなったのはコロナとSlop Shopの運営主体であるハリーメイのインポート事業です。コロナ以降、僕たちがビールを飲むシチュエーションはガラッと変わりました。お店、特にビアバーで飲む機会は極端に少なくなり、自宅で普通の晩ごはんを食べながら飲むというのが殆どです。そうすると派手なビールよりもデイリーに飲めて食事の邪魔をしないシンプルなビールがこれまで以上に活躍するようになりました。ビール単体でインパクトのあるものというより、食中酒って感じですね。 そんな中、ラガーやセゾンなんかと並んで活躍してくれたのがDry Hopped Sourでした。華やかなのが欲しいなと思った時にIPAよりも疲れずしっくり来て、またスパイシーなアジア系料理やタコスなんかとの相性がとてもいいということを発見したり、デイリーに活躍してくれました。ハリーメイで輸入しているトロント近郊のブルワリー(Collective Arts, Bellwoods, Burdock)もコロナ禍の食中酒として大活躍してくれたんですが、みんなイヤーラウンドでDry Hopped Sourをリリースしていることに改めて気がつきました。でも国産で副原料なしのDry Hopped Sourってあまり見かけないぞと。これならヨロッコのハウススタイルからも逸脱しないし、これを作ってもらえたら最高だな、なんなら日本の定番たりえるスタイルなんじゃないかと。 こうしてドキドキしながらオファーし、ご快諾いただいたのが今回のコラボレーションの背景です。 ラベルデザインは当店には何かと関わりの深い岡村奈津樹氏(@natsuki_okamura)の紹介により石渡りささん(@lizzy718)にお願いしました。ポップでガーリーな作風の中にエスニシティやジェンダーの多様性や平等、女性の自己決定権といった社会性がサラリとクールに表現されており、完璧だと直感しました。そこからのインスピレーションでMarblesというタイトルが生まれました。Marblesというタイトルにはビー玉と斑模様=多様性という二つの意味が込められています。 当店はLiquid Gems(液体の宝石)というコンセプトを掲げています。Barrel Aged Sourが気の遠くなるような年月を経て生成される天然の宝石だとすると、Dry Hopped Sourはビー玉に喩えることが可能です。しかし交換価値に関わらずビー玉もダイヤモンドやルビーと同様に美しい。そんな想いが込められています。もう一つの意味である多様性。これは僕たちの「多様性と創造性の称揚」こそがクラフトビールの本質であるという考えが反映されています。多様なバックグラウンドを持った人間がそれぞれの個性を発揮してブルーカラーもホワイトカラーもクリエイティブも非クリエイティブも関係なく活躍できる、そんな産業に成長する可能性がある。それが社会全体にポジティブな影響を与えたら最高だな、そう思って商売を続けています。しかしながら現実にはそううまくいかず、本場アメリカでもいろいろな問題が露わになったのは記憶に新しいですね。だからこそ、声高に多様性を標榜したい。そんな想いが込められています。 長文になってしまいましたが、味の方向性を決めるための明生さんと試飲しながらの打ち合わせやその後の飲み、ブルワリーのみんなとコミュニケーションを取りながら邪魔にならないようちょこっとお手伝いしながら立ち会った仕込みの思い出も含め、いろんな想いの詰まったビールです。でも、ラベルにも書いてあるように「スロッコのパイス〜」という軽い愛称のノリで、あれこれ面倒なことを考えず是非気軽に楽しんでいただけたら幸いです。 商品ページはこちら
【Yorocco - Marbles】について
コラボレーションビールの醍醐味ってそのブルワリーのハウススタイルから逸脱しない範囲内で、でも...